once apon a time


「オレ、やっぱり・・・」



紙袋を渡されながら、あの人がそう呟いた。

紙袋の中身は、想像がついている。



以前、編んで渡した、セーターだ。



不ぞろいの網目をからかわれたけど、大事にしていてくれたのを知っている。



「・・・・うん、わかった・・・・。」



コトバと一緒に、受け取る。



紙袋が、思いのほか大きな音を立てて、耳の奥に刺さった。

軽いもののはずなのに、やけに重く感じるのは何故だろう。



「じゃあ・・・」



そう言って、別れた。







あの紙袋は、そのまま部屋の奥深くにしまわれたまま。

いっそ、捨ててくれればよかったのに。



『ナマイキ』と言われ、人を食ったように言われ続けたあの人だけど、ヘンに律儀な処があった。

そんな事を思い出して、また心臓を掴まれたようなキモチになる。





あの時は、「やっぱり・・・」の後を、言われなくても飲み込んでしまったけど。



今になって、その続きをちゃんと聞いておけばよかった、と何度も思い返す。





いつまでたっても、『待ってる気分』が抜けない――――















04.05.05


続く・・・といいな(笑)



copyright(C)2004- SaKuRa★nome , All rights reserved


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送