雪−snow




 「雪…止んじゃったね・・・・」

 素肌に簡単にシーツを纏っただけの桜乃が、窓の外を見ながら呟く。

「・・・・ん?」

「外、綺麗・・・」

 うっとりと夢見る横顔。その顔の方がよっぽどキレイ。

「このまま、やまなければよかったのにな・・・・」

「ナニ・・・?」

「・・・ううん、なんでもない・・・」

 何ヶ月ぶりかの逢瀬。
1週間のオフ。
 待ちに待った時間は、あっという間に過ぎてしまう。

 明日・・・もう、今日か・・・の朝には、また日本−ココ−を離れなければならない。


 桜乃は、決して寂しいと言わない。

 ―――だって、リョーマくんも頑張ってるんだからー

 それが、お決まりの台詞。

 リョーマは、時々たまらなくなる。

 自分ばかりが、『都合のイイカンケイ』を強制しているようで・・・。


「サクノ・・・・?」


 彼女の眼に、涙が光ってる。

 慌てて、ジーンズを身に着けただけの体を起こす。

「ごめ・・・・。リョーマくん・・・・」

 泣きじゃくるでもなく、ぽろぽろと涙を流し続ける彼女が、どうしようもなく狂おしい。

 ただ抱きしめ、あやす様に髪を撫でる。

「言って・・・? 溜めてないで、言って・・・・?
急に、『もうだめ』って言われたら、オレ、どうしていいかわかんないから・・・・」

 リョーマの肩口に顔を隠すように、桜乃が呟く。

「ごめ・・。
なんか、このまま雪が止まなくて、2人で閉じ込められちゃったらいいのにな、って・・・。
そしたら、ずっとずっと・・・」

「ご、ごめ、ナニいってるんだろ私・・。
ホントにごめんね?
朝早いんだよね?もう寝て・・?」


 急にこみ上げてくる感情に、足元を掬われて動けなくなる。


 愛しい悲しい哀しい・・・・

「ヤダ。せっかくアンタが本音言ってくれたのに・・・。」

「リョーマくん?」

「おれだって、いつも思ってる。
アンタを、オレだけしかいないトコに閉じ込めておきたいって・・・。
他のヤツらなんかの眼に、決して触れさせないで・・・・。」

「ふふ・・・・」

 泣き笑いのように、桜乃が微笑む。

「・・・・笑うトコじゃないんだけど・・・」

「ううん・・・。ホントに嬉しくって・・・・。」


 溢れ出す、感情。

 自分にこんなキモチがあるなんて、今まで知らなかった。

 「早く、アンタを攫っていけるように、強くなるよ・・・。」

 「うん・・・。私も、『ついていけるくらい』強くなるね・・・。」


 強く強く抱き締める。アンタのカラダがオレを忘れないように−。

 オレのカラダが、アンタを忘れないのと同じくらいに−。

 雪みたいに、消えないで−?

 ずっと傍で、閉じ込められていて―――?

 オレがアンタに囚われている位に――――

 シーツごと桜乃を抱え挙げる。

 「とりあえず、朝までは
『2人で閉じ込められて』いよう・・?」


 真っ赤になりながらも、小さく頷く桜乃に微笑む。



 どうか、今夜だけは、雪よやまないで−






2004.3.8


ホントに小噺です(笑)
途中でオチが着かなくて・・・(涙)
きっと、越前サンは、スミレさんに、「実績を作るまでは許さん!」とかって攫っていくのをとめられているんですよ!
彼がどの位辛抱できるか見ものです(違)



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