Construction site −工事現場



「あれ?ここ・・・・?」

「ナニ、どーしたの?」

 急に立ち止まった桜乃を訝しんで、リョーマが声をかける。

「あ、ごめんね?ほら、あそこ・・・」

「ああ・・・・」


 通りの一角を、工事している。
 確かに昨日までは「何か」があったはずなのに、今は囲われて、工事用車両がいるばかり。

「ここって、何があったんだっけ?」

「さぁ・・・?」


 こういったことは、桜乃にわからないのに、自分にわかるとは思えない。
 スポーツ店や、桃城に連れていかれるファーストフード店があったならともかく。


 妙に黙ってしまった桜乃に、また声をかける。


「なに?アンタの好きな店だったの?」

「・・・ううん、ただ、なんか不思議だなって・・・」

「なにが?」

「昨日まであってもなくても全く気にならなかったのに、なくなっちゃうと、なんだか寂しいなって・・・。
 どうして、もっとちゃんとみておかなかったのかな、って・・・。」



 桜乃の言葉が、一字一句、電光掲示板に流れるように頭の中でチカチカした。


「・・・・オレ、そんな後悔したくないかも・・・」

「え?リョーマくんでもそんなこと思うの??」

「・・・今、急にそう思った。だから、覚悟してね?」

「え?ナニ、リョーマくん?」

「あんたは黙って『はい』っていってればいいの。わかった??」

「え?えと、『はい』?」

「ん、上出来。そーゆーことでよろしく。」


 桜乃の頬に、急に暖かい感触が落とされる。

「りょ、りょ、りょ、りょーまくん!!??」

「『覚悟して』って言ったでしょ?」

「〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

「『はい』っていったんだから、逃がさないよ?」


 とにかく、コイツを捕まえておけば、あんな寒いキモチにはならないだろう・・・。
 訳もなく、けれど確信を持ってリョーマはにやりと笑った。






2004.2.12


なくなって気づく事。たくさんアリスギで進歩ないよ・・・



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